【第27講】「想定外が起きたら」— 逸脱管理(Deviation)と根本原因分析(CAPA)
【Lv.3 品質保証】第7部:品質保証システム
講義概要
製造中に機械が突然停止した、温度が規格を一瞬超えた、記録を書き間違えた…。製造現場で起きる「いつもと違うこと(逸脱)」を決して隠さず、原因を突き止めて二度と起こさないCAPAの仕組みを学びます。
逸脱を隠す文化は、必ず後で大きくなります。小さく報告し、深く潰す。
逸脱は宝の山です。即時報告→影響評価→RCA→CA/PA→実効性確認の流れを崩さないでください。『注意します』で閉じるCAPAは、同じ逸脱の予約です。
背景
GMP省令第15条に基づき、製造手順等からの逸脱が生じた場合、速やかに記録・影響調査を行い、重大な逸脱については製販業者への連絡、原因究明、是正措置(CA)及び予防措置(PA)を講じなければなりません。
参照の起点は「GMP省令第15条 / 事例集 第15条関係」です。条文番号は改正で動き得るため、運用判断の直前に現行省令・通知本文を確認してください。
誤解しやすい点: 根本原因を『人の不注意』で終わらせると、再発します。
詳細解説
- 【1. 逸脱(Deviation)の定義と即時報告の原則】 逸脱とは、承認書・SOP・規格値から外れたあらゆる事象を指します。作業員がミスした時だけでなく、停電や機器エラーも逸脱です。『小さな逸脱ほど早く報告する』ことが大事故を防ぐ鉄則です。### 2. なぜなぜ分析と根本原因分析(RCA: Root Cause Analysis) 『作業員の不注意』で片付けてはいけません。「なぜ不注意が起きたのか? → SOPが読みにくかった → なぜ読みにくかったか? → 改訂ルールがなかった」と『なぜ』を5回繰り返し、システムの根本欠陥を突き止めます。 ここでの要点は「2. なぜなぜ分析と根本原因分析(RCA: Root Cause Analysis)」を、担当者が説明できる粒度まで落とすことです。記録項目がその説明を支えるかも併せて見てください。
- 【3. CA(是正措置)とPA(予防措置)の違い】 【CA(Corrective Action)】起きてしまった不適合の原因を取り除き、再発を防ぐこと。【PA(Preventive Action)】他のラインや類似製品に水平展開し、まだ起きていない潜在的リスクを未然に防ぐこと。 「3. CA(是正措置)とPA(予防措置)の違い」が崩れると、後工程の逸脱や出荷判断の曖昧さにつながります。責任者と承認者の役割分担を明示してください。
- 【4. 現場への実装ステップ(本講固有)】 『1. 逸脱(Deviation)の定義と即時報告の原則』について、新人向けに3分で説明できるメモを作り、製造管理者またはQAにレビューしてもらってください。説明できない部分が手順の穴です。---
チェックリスト
- 現場点検の際は、次を優先的に確認してください。
- 現場で逸脱が発生した際、作業を一時停止しQAへ即日連絡する手順になっているか?
- 根本原因分析が「作業員への注意・再教育」だけで終わらず、システムの改善に踏み込んでいるか?
- CAPA(是正・予防措置)の完了期限が設定され、進捗が定期的にトラッキングされているか?
- CAPA実施から数ヶ月後に「本当に再発していないか(実効性評価)」を確認しているか?
- 本講(第27講)の学習目標が、関連SOPの目的欄に反映されているか?
事例
NG事例: 【NG事例】打錠機の異音と重量バラツキを「よくあること」と見過ごして製造を続けた結果、主薬含量が規格外の錠剤が大量生産され、出荷停止となった。
模範事例: 【模範事例】微小な温度逸脱を即座に起票し、RCAによりヒーター配線の断線を発見。全製造ラインの同型ヒーターを一斉予防交換(PA)して大規模事故を防止した。 『作業者注意』で閉じたCAPAは再発します。なぜなぜの先にある仕組み欠陥まで掘ってください。
実務への教訓
逸脱は「宝の山」。隠せば不祥事、向き合えばシステムの進化。ミスを責めず、システムを直す姿勢が品質を高めます。
直近逸脱のCAPAが『再教育のみ』で閉じていないかレビューしてください。
規制参照: GMP省令第15条 / 事例集 第15条関係
関連講座
確認クイズ(3問)
Q1. 逸脱発生時にまず行うべきは?
- 記録し、影響調査・重大性評価を行う
- 記録せずに元に戻して忘れる
- すぐにSNSで公表する
正解: 記録し、影響調査・重大性評価を行う
Q2. CAPAの「CA」と「PA」は?
- 是正措置と予防措置
- 原価計算と利益分析
- 採用と配置転換
正解: 是正措置と予防措置
Q3. 根本原因を『人の不注意』だけで終わらせると?
- 再発しやすい(仕組みの改善に至らない)
- 最も優れた根本原因分析になる
- 査察で必ず高評価になる
正解: 再発しやすい(仕組みの改善に至らない)
本記事はAIおよび専門規制情報に基づき作成されたインテリジェンス・教育コンテンツです。正確な実務適用については必ず最新の厚生労働省令、PMDA・PIC/S・FDA等公式ガイドラインをご確認ください。